日々是妄想

よろずジャンルなオタクの掃き溜め。地雷もないが節操もない。

弥栄の烏

読んだの1年以上前なのに未だに思い返すたびに憤っている。
雪哉の激重オタクなのでめちゃくちゃに偏ってる自覚はあるけど、あるけど、雪哉のことを想って行動してくれたひとがあの広い山内に誰一人いないことに腹が立って仕方がない。雪哉本人含めて。

(ここからネタバレ。だいたい呪詛)

茂さんがいたら、「それは雪哉のためにならない」って止めてくれてたのに。雪哉のために、という言葉をかけてくれるひと、茂さんしかいないの……?
雪哉のお兄さんも弟も梓さんも、雪哉のこと家族として大切に思ってくれてはいるけど、どこか遠い。
そういう人間関係が築けていないのは雪哉の所為もあるから周りを責めてもしょうがないけど、雪哉の人間関係形成に難があるのは性格が悪い所為というより頭が良すぎるのが原因に思えるのがまた遣る瀬無いんだよ……

「弔い合戦になってなければそもそも雪哉はあの選択をしなかったのでは」と言われて、それはそうだと思う。
一匹残らず殲滅するとか、私怨でしかないじゃん。この戦いは私怨による復讐でしかないのにみんな乗っかったの、それが八咫烏にとっても都合がよかったからじゃん。将軍が賛成した途端に乗っかって賛成したやつらのことは絶対許さんからな。
雪哉と同じ目線に立てるの、今となっては翠寛先生だけという皮肉。雪哉もそれがわかってて翠寛先生遠ざけようとするから、ほんとこの子は……
無能なひとは雪哉の口車に乗せられて、ちょっと頭の回る者は八咫烏全体を守るためとかおためごかしに、雪哉を主犯にしたんだよ。
雪哉を英雄扱いして、罪悪感の依代にして刹那の平和を得た世界が憎い。

私は雪哉がしあわせになってくれたらほかはどうでもいいという盲目だけどモンペではないので(たぶん)、雪哉が悪いとは思っている。だからあんな選択した雪哉には腹が立つ。その選択は雪哉をしあわせにしない。
それ以上に、どう考えても雪哉が悪いのに誰も怒ってくれるひとがいないことに最高に腹が立つ! 若宮はこんなの絶対怒らないと駄目なのに、自分の罪の意識に手一杯で雪哉を憐れむばかりで受け入れたのほんっと……腹立つ。それ以外の語彙が出てこない。
(このあと番外編を読んで結局この主従好き……ってなるんだけど)(でも弥栄読んだらまた怒る)
真赭の薄には怒る権利があって正常に怒ってくれたので、弥栄で信用できるの彼女だけだった。

ちょっと冷静になってメタに見ると、巻を重ねるごとに世界が広がって唯一絶対と思わせていた価値観が矮小になる構成天才だな……と感心しきり。若宮陣営に不信感や憤り感じるようになるのも計算のうちなんだろうなと思うと。
第二部で山内はどうなるんだろう……