日々是妄想

よろずジャンルなオタクの掃き溜め。地雷もないが節操もない。

追憶の烏

「烏に単は似合わない」や短編からの人間関係のうねりが増幅していく様がすごくて、
展開がつらいとか以前に物語の構成力に感動した。

この先ネタバレ。
若宮に対して非道いです。

.

..

...

....

.....

地雷女が退場した途端に復活するかつての地雷女。
烏に単は似合わないのときはわりと早い段階であせびの地雷女っぷりには感づいていて、この子きもちわるい……と思っていたけど、
ここに来て復権する強かさに一周まわって好きになってしまった。
雪哉は女の扱いが下手で足元を掬われる場面が多いよね。

主従の結末は、ここに来てこの最期を展開する、読者に対する容赦の無さがすごい。
やたらメタに感動してしまって、あんまりダメージ受けてない。
正直もっと最低な想像していたから、むしろよかったと思ってしまった。
なにも、よくは、ないよ!

若宮もとい金鳥、すべての八咫烏に慈悲があるという弱みにつけこまれて、雪哉の手で周囲にはそれと悟られぬよう軟禁されているのでは……? という展開を危惧していたから、雪哉が己の主君に対してそこまで非道じゃなくてよかった。
繰り返すが実際の展開は何も良くはない。
結果的にやらなかっただけで、ここで若宮が退場していなかったら雪哉がそういう手段を取る可能性は大いにあると思う。

私は若宮に対して愛憎相半ばというか弥栄以降は憎に傾いているので、
雪哉から若宮が喪われたこと、信頼を得ていなかったことに対してはあまり思うところはなく。
若宮だって雪哉個人より山内のことを優先して、引き込んだのだし。
明留までいなくなってしまったことのほうがずっと哀しい。
雪哉の信頼できる友達が、またひとりいなくなってしまった。

この状態で政治の実権握った雪哉が楽園の烏なのだと思うと、また絶望感が増す。
なんかもう、雪哉が幸せになる道はとっくに閉ざされてしまってるんだから、
雪哉の政治が山内崩壊に対する手を打つ戦略ゲームになるのもさもありなんというか……
もうこうなったら姫宮に望みを託すしかない。雪哉を追い落とすことができるのはきっと女。
楽園で姫宮の記憶がないのだけど、別名のほうで出てたかな……読み返さねば。