日々是妄想

よろずジャンルなオタクの掃き溜め。地雷もないが節操もない。

楽園の烏

ひっさしぶりに新刊を発売日に購入し1日で読み切りました。
前巻の感想がこちら。
melancholic-clown.hatenablog.com

この雪哉にキレてたときから1年半が経ったとは思えないほど、雪哉と他の烏たちへの憤りは鮮明なまま挑んだ新刊。
BGMにこっこちゃん選んでしまったのも相まってシーンによってはこわかった。
相変わらず盤面をひっくり返す手法が鮮やかです。

雪哉に言いたいこと言うために睡眠時間削ってブログを書きます。

続きはネタバレ!

雪哉が相変わらずだという評を聞いていたので、20年経っても変わらないの?と雪哉に憤るつもりで読み進めてたのに、
なんかもう、相変わらずだな自分……もういいよ20年経ってなお変わらないならもうそれで……
という諦めの境地へ至ってしまった。

雪哉が出世していればしているほどしんどいと思っていたので、最高位に就いてしまっていて序盤から絶望。
それでも名前が出てきた瞬間体温が上がるのを知覚するほど、雪哉のことは好きです。
垂氷の雪哉でよかったのにね…………
地元で兄弟を助けて生きることを望んでいた家族想いの少年を、中央の政治の舞台に引っ張り出してきた張本人、今どこで何やってるの?
ひょっとして若宮から実権奪って政乗っ取ったんじゃなかろうな、と危惧したけど、
ブラコンな長束お兄様があの態度ということは、若宮も悪いようにはなってないのかな。
神様関係で身動き取れない状態なんだろうか。
随分長いこと、雪哉が牛耳ってる様子だよね。
あれだけごたごたしてた4家が満場一致で雪哉を信任するなんて、どんなずるこい手を使ったのやら。

治真くんがすっかり雪哉に感化されてて哀しいよ、いい子だったのにねえ……
本性知ったら離れていくものだと思っていたのに。
本性知ってなおそばにいてくれる人がいるというのはありがたいことだけど。
長束お兄様にしろ、やり口が苛烈だとは思っていても好きにさせてるのだし。

雪哉の何がこわいって、情のない子ではないというところだよ。
人の痛みのわからない、「貴族的な」考えで奴隷制度を敷いているならまだ救いがあった。雪哉を屠ればどうにかなった。
あくまでそれが山内全体最適のため、だから、雪哉を失脚させて奴隷を開放したら、その先にあるのは崩壊かもしれない。
雪哉がこんなことをやらないといけない世界なら滅びてしまえと思ってるけど!
視座が一個人としては高すぎるんだよな……情のある、優しい子が、全体を救うためならどれだけ残虐なことでもしてしまえる。
情があるからこそなんだけど、そこまで理解してくれている人が、雪哉のまわりに何人いる?
若宮は、性質上雪哉の取る政策は絶対自分では実行できないけど、視座は共有できてると思うんだよな。
だからこそ雪哉にだけ汚れ仕事させることになっているのが赦せないんだけど。

結局、雪哉の時は茂さんが死んでからまだ進めてないんだな……と気づいてしまったら、もう何も言えなくなった。